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私の3.11

あれから15年ですね。

私にとっても、原点となった瞬間かもしれません。

あの春は、ずっと憧れだった美容師の夢を手放した春でした。

当時は通信制の美容学校に通いながら、美容室で働いていました。

学生時代にアルバイトを3つ掛け持ちして100万円を貯め、ほぼ自力で金沢にアパートを借りての挑戦でした。

でも、いざ飛び込んでみると現実は想像以上に厳しいものでした。

当時の美容業界の給料はとても低く、アシスタントの収入で金沢で一人暮らし(しかも猫付き🐈)を続けるのは、今思えばかなり無謀でした。

必死に貯めた貯金は、敷金礼金や家具家電、美容学校の頭金であっという間に消えていきました。

次第に学費の支払いも危うくなり、「このままでは美容師免許を取れないかもしれない」という不安が日に日に大きくなっていきました。

それでも簡単に諦めることはできず、新聞配達のアルバイトもしました。

休みもほとんどなく、睡眠時間もほとんどない生活。

でもある時、思考も回らないほど疲れている自分が、同じ美容師を目指す仲間の足を引っ張っていることに気づきました。

それに気づいてしまったらもう、「それでも頑張りたい」なんてことは言えなくなりました。

私は美容師を辞める決断をしました。

仕事を失い、夢を失い、学生に戻り、残ったのは未払いの学費と借金だけでした。

「美容師を辞めたのに、何のために美容師免許を取るんだろう」

「ここまでして免許って必要?」

「私の人生これからどうなるんだろう…」

そんな時にテレビに流れてきたのが、東日本大震災の報道でした。

たくさんの人が悲しみ、泣き、被災地を心配し、助けようとしている。

そんな映像を見ながら、私が思っていたことは――

「私より大変な人がいる」

「私はまだまだ幸せなんだ」

なんてものではありませんでした。

「私だって泣きたい。私だって助けてほしい。」

でした。

誰かに言ったら怒られそうな気持ち。

自分でも情けないと思いました。

でも同時に、思ったこと。

「いつか私も、誰かを助ける側に行けたらいいな」

「そのためには、まず自分がしっかりしなきゃ」

それから、3.11が来る度にあの時の気持ちを思い出します。

あの時、お金はもうない、むしろ借金しかないけど、美容師免許だけは取っておこうと最後までやり切ったこと。

誰かに助けてもらう側から、誰かを助ける側へ、少しでも変わりたいと思ったこと。

あの時の思いが、今この訪問美容あのねのお仕事に繋がってると思うと、とても感慨深いです。

私は被災者ではないですが、3.11が来る度、同じ頃に絶望を感じ、それでも諦めずにもがきながらここまで生きてきた自分に、「よく頑張ってきたね」と思います。

そして当時のサロンや美容業界には、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

あの頃は、先生たちが長い年月をかけて学んできた大切な技術を、私たちは働きながら無償で、むしろ給料をいただきながら、教えてもらう立場、という考え方でした。

サロンワークも練習も、セミナーもコンテストも、すべてが自分の学びであり財産でした。

こんなにも自由で華やかでキラキラした世界があるということ、その裏で手に職をつけるという道がどれほど険しいものなのかを教えてもらいました。

そしてその技術で、この両手で、誰かを笑顔に、ほんの少しだけ幸せにできること、その喜びも教えていただきました。

夢に向かって切磋琢磨した仲間たちとの時間も、苦しくてあがき続けた日々も、全部が私の大切な青春です。

あれから15年。

私は今、胸を張って美容師として生きています。

美容師免許だけでは足りずに、准看護師と介護福祉士の資格まで持っています。

おもしろいですね、人生って。

私は強いわけでも、努力家なわけでもないです。

漠然とした大きな不安があって、それでもどこかにきっとある自分らしい生き方を、どうしても見つけたかったんです、きっと。

でも、自分らしさって何?どう生きたいの?と問われても答えがわかりませんでした。

寄り道や道草をたくさんして、このお仕事に出会いました。

このお仕事は、今までの人生では出会うことなかった、たくさんの方々に出会わせてくれて、たくさんの気づきや学び、喜びを与えてくれました。

毎日「ありがとう」って笑顔を向けてもらえました。

まだまだ力が及ばない時、悔しい時もたくさんありますが、いつでも優しくて、あったかい。

幸せだなって毎日心から思えます。

これから先何年経っても、変わらずそう思えるように、これからも私は私らしく、このお仕事と向き合いながら、この人生を楽しんでいきたいと思います。

最後に、東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

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